潰瘍性大腸炎ってどんな病気?
炎症によって大腸の粘膜が傷つき、腹痛や下痢が起こる原因不明の病気 1)~3)
潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が生じて大腸の粘膜が傷つき、腹痛や下痢、粘血便(粘液と血液が混ざった便)などの症状が現れる、原因不明の病気です。大腸粘膜の傷が深くなることで、びらん(えぐれたような状態)や潰瘍(びらんよりもさらに深くえぐれた状態)が生じます。現時点では潰瘍性大腸炎を完治させる治療法はありませんが、適切な治療によって寛解(症状が治まった状態)に至ることで、仕事や学業も含めた通常の日常生活を送ることが可能です。多くの患者さんでは、再燃(一旦回復しても再び症状が現れること)を防ぐために、長期にわたり治療に取り組んでいく必要があります。
病変が広がる範囲によって主に3つに分類 1)4)5)
大腸は、口に近いほうから盲腸、結腸、直腸に分けられ、肛門に続いています。
潰瘍性大腸炎では、粘膜の病変は通常、直腸から生じて口側へと連続的に広がっていきます。病変の広がりの範囲によって、潰瘍性大腸炎は3つのタイプに分類されます。病変が直腸に限られる場合は「直腸炎型」に分類されます。病変が結腸にも広がる場合で、結腸の脾彎曲部を境として、そこを超えない場合は「左側大腸炎型」、超える場合は「全大腸炎型」に分類されます。これらの分類は、症状の重さや炎症の程度などとともに、治療方法を決める際に重要な情報となります。
潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患(IBD)2)4)6)
寛解・再燃性または慢性に腸に炎症を引き起こす病気を炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)と呼び、一般には潰瘍性大腸炎とクローン病の2つを指します。どちらも原因不明で、複雑な病態により腸が傷つけられることでさまざまな症状が出現します。
原因は何?
不明だが、考えられているのは「遺伝的な素因+環境因子」による異常な免疫反応 1)4)6)7)
潰瘍性大腸炎の原因は解明されていません。しかし近年の研究によって、遺伝的な素因に腸内細菌や食事内容、喫煙、衛生環境といったさまざまな環境因子が重なることで、異常な免疫反応が引き起こされて発症すると考えられるようになっています。