潰瘍性大腸炎の主な症状は?
粘血便や下痢、下腹部の痛み 1)2)
潰瘍性大腸炎の主な症状
潰瘍性大腸炎の主な症状は、粘血便(粘液と血液が混ざった便)や、下痢、下腹部の痛みです。
潰瘍性大腸炎の患者さんは、大腸の粘膜が傷ついていて出血しやすいため、便に血液が混じることが多くなります。症状の軽い人では、下痢もなく血液が便の表面に付く程度で、痔による出血と間違われることもあります。一方、病変の範囲が広かったり大腸の粘膜の傷(潰瘍)が深かったりすると、水のような下痢に血液が混じったケチャップに似た便になり、重症になると血液や粘液などが混ざったものだけが排出されます。
病変の広がる範囲が大きい「左側大腸炎型」「全大腸炎型」では、排便しても下腹部の痛みが消えない「しぶり腹」がよくみられます。残便感もあるため、長い時間トイレにこもることになってしまい、日常生活に支障をきたしやすくなります。
粘血便や下痢、腹痛以外の症状はあるの?
重症になるにつれて発熱や貧血、体重減少が現れる 1)~3)
潰瘍性大腸炎が重症になるにつれて、発熱もみられるようになります。ひんぱんに粘血便が出ていることで貧血や脱水が生じ、その結果として顔色が青白くなったり(顔面蒼白)、動悸やふらつきが現れたりします。また食欲不振や体重減少などを伴うことがあります。
潰瘍性大腸炎が原因で別の病気が起こることも(合併症) 2), 4)~7)
ある病気が原因となって引き起こされる別の病気のことを合併症といいます。潰瘍性大腸炎では、さまざまな合併症が現れることが知られています。潰瘍性大腸炎の合併症には、腸に生じる「腸管合併症」と、腸以外の部位に生じる「腸管外合併症」があります。
腸管合併症2)4)5)
腸管合併症には、炎症の悪化によるものと、炎症の持続によるものがあります。炎症の悪化によるものは、腸に大きな潰瘍ができることで血管が破れ、大量出血が起きることがあります。また、炎症が激しいため腸管が拡張し、全身の状態が悪くなる中毒性巨大結腸症や、大腸穿孔(大腸に大きな穴が開くこと)が起こることもあります。
炎症の持続によるものでは、大腸がんや大腸の狭窄(大腸が狭くなる)が生じることがあります。
腸管外合併症2)6)7)
腸管外合併症は全身のさまざまな部位に出現し、免疫や栄養状態、腸管病変などが関与していると考えられています。
主なものとして、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、眼病変(ブドウ膜炎など)、口内炎、関節痛または関節炎、強直性脊椎炎、骨粗しょう症、尿路結石症(腎結石など)、肝胆膵(肝臓や胆嚢・胆管、膵臓)の病変などが知られています。