日常生活に制限はあるの?
症状の治まった「寛解期」には、基本的に日常生活に制限はなし 1)
潰瘍性大腸炎は長く付き合っていく病気で、その経過には病気の勢いが強い“活動期”と、症状が治まる“寛解期”があります。寛解期は基本的に日常生活に制限はなく、学校に通ったり仕事をしたりすることもできます。
活動期には、早く寛解の状態に至るよう治療を強化するため、症状の程度によっては入院が必要になります。外来通院で治療を受ける患者さんは、通学や仕事をしてもかまいません。ただし、負担になるような運動がある体育の授業や肉体労働は控えるようにしましょう。
食事で気をつけることは?
寛解期には、厳密な食事制限は必要なし 2)
潰瘍性大腸炎の活動期には、症状の程度に合わせた食事制限が必要になるため、医療機関での指導に従うようにしましょう。
寛解期には、厳密な食事制限は必要ありません。栄養バランスのとれた食事を摂るようにしましょう。牛乳や乳製品も、乳糖不耐症※でなければ摂ってもかまいません。少量のお酒や薄いコーヒーも飲むことができます。ただし、暴飲暴食や唐辛子など刺激の強い香辛料は避けるようにしましょう。
※乳糖不耐症:乳糖分解酵素であるラクトーゼが欠乏あるいは耐性が低下することで、乳糖が分解されず腸に残ること。
出張や旅行をしても大丈夫?
寛解期には、出張や旅行が可能 1)
潰瘍性大腸炎の活動期には、症状が悪化したときにすぐに来院できないような場所への長期出張や旅行は控えたほうがよいでしょう。
寛解期には、出張や旅行は可能です。旅先では、暴飲暴食をしないよう心がけ、薬の服用・使用を忘れないようにしましょう。
妊娠・出産への影響は?
寛解期の妊娠のしやすさは健康な人と変わらず 3)
潰瘍性大腸炎は症状が落ち着いていれば(寛解期)、男女ともに不妊率が上がることはなく、妊娠のしやすさは健康な人と変わりません。しかし病気の勢いが強いとき(活動期)は、女性の患者さんは妊娠しづらくなる可能性が指摘されています。大腸を摘出する手術を受けた女性の患者さんは、手術による卵巣の癒着があると不妊率が高くなると言われていますが、そのような場合でも諦めることなく、まずは主治医に相談するようにしましょう。
寛解期に妊娠するのが望ましい 3)
潰瘍性大腸炎は寛解期であれば、妊娠や出産に悪影響を及ぼすことはありません。しかし活動期の妊娠では、赤ちゃんの低体重や早産、流産のリスクが高まるほか、母体についても潰瘍性大腸炎の症状を落ち着かせることが困難になったり、寛解に至らず出産した場合に症状が悪化したりする可能性があります。妊娠にあたっては、治療によって寛解の状態を保つことが大切です。
妊娠を希望している場合は早めに主治医に伝え、使っている薬が妊娠に及ぼす影響について相談しておくとよいでしょう。