潰瘍性大腸炎は、どんな経過をたどる?
症状が治まったり悪化したりを繰り返す再燃寛解型が大部分 1)~3)
潰瘍性大腸炎患者さんの多くは、寛解(症状が治まること)と再燃(再び悪化すること)を繰り返します。このような経過をたどるタイプを「再燃寛解型」といいます。その他のタイプには、寛解に至らず6ヵ月以上にわたり病気の勢いが強い“活動期”のままである「慢性持続型」や、とても激しい症状で発症し、穿孔(穴が開くこと)や敗血症などを伴うことが多い「急性劇症型」があります。また発症後に一度寛解するとそのまま再燃せず経過する「初回発作型」もありますが、将来に再燃寛解型に移行する可能性が高いといわれています。
今後どのような経過をたどるのか、発症した時点で予想することは困難です。
厚生労働省の調査では、潰瘍性大腸炎の内訳は、再燃寛解型が50%、慢性持続型が29%、初回発作型が20%、急性電撃型が1%と報告されています。
発症からの期間が長いと大腸がんのリスクが高くなる 4)~6)
潰瘍性大腸炎の発症からの期間が長くなると、大腸がんのリスクが高くなることが知られています。欧米の報告では、潰瘍性大腸炎患者さんで大腸がんが発生する割合は、診断からの経過年数が10年で1.6%、20年で8.3%、30年で18.4%と、年数が経過するほど高くなる傾向がみられました。
また、潰瘍性大腸炎の病変範囲が広いことも大腸がんのリスクとされており、上記の報告では、潰瘍性大腸炎患者さんで大腸がんを合併している割合は3.7%でしたが、病変範囲の広い「全大腸型」に限ると5.4%と高くなる傾向がみられました。
このようなリスクがあるため、潰瘍性大腸炎の患者さんは特に症状がなくても、定期的に大腸内視鏡による検査を受けることが重要です。
大腸を切除する手術が必要になることも 7)8)
潰瘍性大腸炎の患者さんは、内科的な治療で効果を得られない場合や大腸がんを合併した場合、経過のタイプが「急性劇症型」である場合などに、大腸を切除する手術が必要となることがあります。わが国では、潰瘍性大腸炎の患者さんのうち大腸切除術を受けている割合は、発症5年後では12~14%、10年後では約17%とされています。近年の治療法の進歩によって、大腸切除術を行う割合は低下傾向にあります。
寿命は健康な人と差がない 7)9)
潰瘍性大腸炎の患者さんの寿命は健康な人とほぼ同じで、この病気が生命(生存)に及ぼす影響はほとんどないとされています。